(※出展:東松山市)
埼玉県・浦和市のコミュニティセンター会議室で行われた、「再生可能エネルギー活用セミナー(平成27年度 九都県市・再生可能エネルギー活用セミナー)」に行ってきました。
会場の雰囲気
平日の昼にもかかわらず、参加者は100人近く。
県や市の環境課、民間団体や社団法人など、再生エネルギー普及に熱意を持つ方々の話を伺いました。
中でも1人の県職員の方の発表は、「心からこの仕事を楽しんでいる」という雰囲気で、私の持っている「公務員の仕事」というイメージを壊してくれました。
ドイツの「環境センター」のような機能をこれからの地方自治体は担っていくのかも知れません。
※「環境センター」とは、環境教育や市民のための環境講座などを開催する団体。
太陽熱温水器はなぜ売れないのか
セミナーでは、太陽熱温水器についての話が中心でした。
第2次オイルショックの1980年をピークとして、太陽熱温水器の普及量はほぼ右肩下がりです。
2014年には、ピーク時の1/20の水準まで低下してしまっています。
(※出展:ソーラーシステム振興協会)
太陽熱温水器が普及していない理由としてよく言われているのは、
- オイルショック当時の強引な販売によるイメージの低下。
- 見た目がかっこ悪い。
- 手厚い補助金や、省エネ住宅の義務化がなかったから。
というような理由です。
しかし、本当にそれだけなのでしょうか。
太陽熱温水器はiPhoneを見習うべき
「短期間で普及した商品」と言うと、真っ先に思いつくのは「iPhone」ではないでしょうか。
iPhoneは2007年の発売以降、
- (2007年)400万台
- (2008年)1,400万台
- (2009年)2,000万台
- (2010年)5,000万台
- (2011年)7,000万台
- (2012年)1億2,000万台
と、爆発的に普及しました。
(※出展:iDownloadBlog)
iPhoneの販売戦略やヒット要因は、太陽熱温水器の販売戦略にも応用できます。
太陽熱温水器は、オイルショック当時でさえ年間80万台も売れました。
デザイン、性能、コストパフォーマンス、消費者の環境意識、これら全てが向上している現在なら、年間100万台売れても特に不思議ではありません。
iPhoneが売れた3つの理由
※出展:The Telegraph
iPhoneが売れた要因として考えられるのは、
- ファンづくりに成功した。
- 機能や利便性が評価された。
- 「本体実質無料」のプロモーションが成功した。
という3点です。
要因1:ファンづくり
CEO本人による新製品発表会で、ユーザーとビジョンを共有する。
「アップルの製品を持つことがカッコイイ」というブランド戦略。
アップルファン同士の仲間意識。
デザイン性の高さ。
アップル製品には「機能」以上の目に見えない価値が上乗せされています。
そのため、ファンは価格にさほど左右されずに購入を決定します。
要因2:機能や利便性
iPodという自社のミュージックプレイヤーと同等の機能。
PCの代わりとしても使える機能。
「iCloud」という、複数の端末でデータを共有して使える仕組み。
ユーザーの使いやすさを追及した設計。
「アプリ」という、モバイルアプリの限界を突破したツール。
「アップルの製品はデザインが良いだけ。お金の無駄。」と考えていたWindowsファンも唸らせるほどの、高機能性を実現させました。
要因3:本体実質無料
どれほど機能が良くても、どれだけ信者が多くても、
「電話機本体の価格は6万円だよ」
と言われてしまうと、iPhoneはここまで売れなかったでしょう。
アップルは、ソフトバンクに独占販売を許可した見返り(?)として、ソフトバンクに特別な販売キャンペーンを行ってもらいました。
それが、「本体実質無料」という販売方法です。
これにより、購入者の心理的ハードルを下げることに成功しました。
※1:2012年以降はauにも供給開始。
※2:本体価格は月々の料金に上乗せ。ただし2年契約なら上乗せ分も割引。
あくまで推測ですが、この販売キャンペーンを持ちかけたのはソフトバンク側と思われます。
短期的な利益を度外視しても、長期固定収入の増加を目指す手法は、Yahoo!BB(ADSL)と同じ仕組みに見えるからです。
以下、後編に続きます。後編では、
- iPhoneが無視したユーザ層
- 太陽熱温水器が狙うべきユーザ層(ターゲット)
- 太陽熱温水器が取るべき販売戦略
について触れます。