「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」覚書

『ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか』
著者・村上敦氏によるトークイベント@二子玉川(ツタヤ家電)

画像とメモ書き。

以下、講演内容覚書。
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書名を本当はkm=¥という書名にしたかったが、分かりにくいだろうということで、この書名にした。
自治体によって経済力に格差がある。地方交付税の割合で分かる。不交付団体:成田市=空港、神戸=港、製造業が強い・発電所がある自治体。
経済力のある自治体は、その自治体の中だけで儲けているわけではない。何らかの集金機能が働いている。

地方創生で六次産業化が叫ばれるが、大手企業と真っ向勝負して勝てるわけがない。企画、マーケティング、生産、営業、販売。
自転車ツーリズムで外貨獲得する方がハードルが低い。
スイスのツェルマット。人口5800人。車を通さない。ホテル一泊3万円、スーパーで買い物したらすぐ1万円。

居住誘導計画で線を引いても、納得できる人はいない。
ドイツでも、集合住宅の地主に補填金を支払って減築する事例はある。
日独のまちづくりの違い。人が集まって住んでいないから。
建物の数、大きさ、道路の数。
地方都市が作られた頃は、日本でも人口密度が高かった。
今は、空き家や単身・高齢夫婦だけ。
郊外にイオンが出来たから商店街が潰れたわけではない。人口密度が下がって、集客力がなくなった。

ドイツの住宅は基本的に4階建て以上。
賃貸が主。世帯構成によって引越す。
道路延長が短い方が、インフラの整備コストが低い。フライブルクは青森の半分以下。
書評で「答えが書いてない!」と怒られた。答えは、「細かい道路を廃止する」こと。
道路にアクセスできなくなる家が出てくるので、再開発が必要。
いずれ市場原理でそうなる。
もう一つの対策は、一軒の家に多くの人が住むこと。難易度が高い。

ドイツの家賃回収期間は35年。日本に比べると長い。日本は約7年。つまりドイツの賃貸は家賃が安い。なぜなら、35年後に購入した価格の倍近くになる。新築住宅の供給が制御されているから。

交通インフラだけ考えても、まちづくりはうまくいかない。不動産の視点が必要。
集合住宅の一階に店を入れることで、移動距離の短いまちづくりを実現する。

質疑:
自動車の未来。
自動車産業はソリューションを提供する産業ではない。ウーバーや自動運転などのブレイクスルーがいづれくるだろう。

イオンのようなSCがフライブルクの郊外にできたらどうなる?
ウォルマートはフライブルクに二軒あるが、町の中心部で買った方が価値が高いと考えている人が多い。ただし、ルール工業地帯や東ドイツなどは壊滅している。

エネルギーを域内で回すことに関して日本が参考にできる対策は?
地方創生の手段として、再生エネルギーよりも省エネは効果が目に見えやすい。たとえば、冷蔵庫を最新のものに変える。電気温水器をヒートポンプやエコジョーズに変えるなど。ドイツでは三重窓以外は販売禁止。
地方の電器屋、工務店にお金がおちる。
ドイツでも、再エネより省エネから取り組みが始まる。イニシャルの回収のイメージがつきやすいから。