3つの指標で見る太陽光パネルの効率向上(2005年~2015年)。

solar
※出展:Hawaii Renovation

10年前の製品と、最新の製品を比較

固定価格買い取り制度(FIT)や市場での競争によって、太陽光パネルの効率は大きく向上しました。
2005年時点と2015年時点の製品の指標を比較することで、効率性の向上を検証します。

指標その1:kW単価

「kW単価(キロワット単価)」とは、工事費を含む太陽光発電システム全体の費用を、システム容量(*1)で割った数値です。
(*1:システム容量:太陽光システム全体の公称最大出力(*2)。「kW」キロワット数で表す)
(*2:公称最大出力:パネルに対して約42度の角度で太陽が当たっている状態を想定し、放射照度1000W/平米、モジュール温度25℃の状態での発電量)

例えば5kWのシステム容量で、システム全体の費用が200万円だとすれば、kW単価は
2,000,000円÷5kW=400,000円/kW
となります。

10年前のkW単価

新エネルギー財団の資料(*3)では、2005年6月~8月のkW単価は、684,000円となっています。
(*3:H17年度事業「太陽光発電システムkW単価の動向」

現在のkW単価

一方、経済産業省の資料(*4)によると、2014年10月~12月の新築住宅におけるkW単価は、364,000円でした。
(*4:「第17回調達価格等算定委員会」)

10年前と比べると約47%下落、ほぼ半額になっていることがわかります。

指標その2:損失(ロス)

パネルの温度上昇や汚れによる損失はもちろんのこと、配線やパワーコンディショナー部分などでも電力損失(ロス)が発生します。
個々の損失は微々たるものですが、積み重なると全体の発電量の20~30%が失われることになります。
損失が少ない方が当然お得な太陽光発電システムとなります。

例えば、パネルの温度上昇による損失が年平均10%、汚れや配線等による損失が5%、パワーコンディショナーによる損失が4.5%の場合、

(1-0.1)×(1-0.05)×(1-0.045)=0.82

となり、発電能力のうち「0.82(82%)」しか利用できない、ということになります。
この場合、損失(ロス)率は1から0.82を引いた、18%となります。

10年前の損失(ロス)

現・ソーラーフロンティア社の前身である、シェルソーラージャパン社の2004年モデル「シェル サンシエラ」のカタログを見てみましょう。
モジュールの温度上昇による損失は、3~5月が15%、6~8月が20%、9~11月で15%、12~2月が10%と、月平均で15%。
配線その他による損失は、8%。
パワーコンディショナーの損失は6.5%となっています。

これらを掛け算していくと、損失は約27%になります。

現在の損失(ロス)

対して、ソーラーフロンティア社の最新情報(2015年9月時点)では、
モジュールの温度上昇による損失は、4~5月で7%、6~9月で10%、10月~11月で7%
12月~3月で5%と、月平均で7.3%。
配線その他による損失は、5%、
パワーコンディショナーの損失は5%です。

これらを掛け算していくと、損失は約16%になります。
10年前と比較すると、合計損失率は27%から16%へと、10%以上も減少しています。

指標その3:外形寸法

パネルを設置できる屋根の大きさには限界があります。
また、屋根の端からはみ出してパネルを設置してしまうと、メーカーの保証が受けられません。
家の設計図があれば、屋根の形状や各辺の長さを調べてみます。
パネルの外形寸法を参考に、何枚のパネルが載せられそうなのか、パズルのようにして確認してみてください。
kW単価が安くて、損失が少なくても、屋根に載せられるパネルの数(=システム容量)が少なければ、最適のパネルとは言えません。

10年前の外形寸法

シェルソーラージャパン社の2004年モデル「シェル サンシエラ」RK148-HP(162W)は、外形寸法1012×1290×36です。(寸法はmm)

現在の外形寸法

ソーラーフロンティアの最新パネル、SF165-S(165W)では、外形寸法は977×1257×35です。

各辺が35mm、33mmずつコンパクトになっており、厚みも1mm薄くなっています。

指標その4:モジュール変換効率

一枚の太陽光パネルは「モジュール」と呼ばれます。
「モジュール変換効率」とは、パネル一枚あたりの発電効率を示すものです。
{公称最大出力(W数)×100)}÷{モジュール面積(平米)×1000W/平米}
という数式で表されます。
この数値に10を掛けると、1平米あたりの公称最大出力を計算できます。

パネルの性能としては重要に見えるこの指標ですが、変換効率が高いパネルはその分価格も高くなります。
投資効率という意味では、kW単価の方がふさわしいです。
例えば、モジュール変換効率が15%で公称最大出力200Wのパネルと、20%で200Wのパネルとでは、実際の発電能力は同じです。(200W)
ただし、モジュール変換効率の低いパネルの方が、同じ量の電力を発電するのにより多くの面積を必要とするのは確かです。

10年前のモジュール変換効率

Panasonicの2004年のモデル「HIT N230SJ13」では、モジュール変換効率は17.9%でした。

現在のモジュール変換効率

2015年現在の最新モデル「HIT 250α(VBHN250SJ31)」では、モジュール変換効率は19.5%に向上しています。

また、Panasonicが2015年7月23日に発表した内容では、モジュール変換効率が22.5%の試作品を開発したとのことです。

まとめ

指標 10年前 現在
kW単価 684,000円 364,000円
損失 27% 16%
外形寸法 1012×1290×36(mm) 977×1257×35(mm)
厚みも1mm薄くなった
モジュール変換効率 17.9% 19.5%

太陽光発電システムは引き続き進化を続けています。
私自身は現在賃貸暮らしということもあり、自宅に太陽光発電システムの導入はいまだ実現できていません。

今後自宅を購入し、太陽光発電システムを導入する際には、万全の知識でベストなシステムの導入ができるよう、最新の太陽光発電システムについて勉強を続けていきたいと思います。